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フレームレス手法を活かしたスチール隠し扉の作図事例

志摩観光ホテル_2016.02
■サイズ■仕様
W1300×D83×H2405
図面参照 
四方枠:t=3スチール曲げ加工焼き付け仕上げ
隠し扉:スチール曲げ加工焼き付け仕上げ
■備考
2020.04.30更新 

背景

海外の観光客増加と国家行事の使用されることから、今回の事例であるこのホテルの改装計画があり、フロアの内装工事で必要な施工図一式の作成依頼がありました。

ただ、厳しいことに基本設計というのは無く、デザイナーさんが、描いたスケッチをを元に作図という難題を押しけられたことでした。そして建築工事との取り合いや、度重なるデザイナーさんの意匠変更のおかげで、3ヶ月に渡っての作業となりました。参った参った。

作図説明

今回の作図事例は、建築の躯体壁に設置された既存の分電盤を点検するために取り付けたメンテナンス用建具です。

この分電盤は、ホテルのお客様が利用する共用通路の壁に取り付けたれたもので、移設の要望を建築側に依頼していましたが、動力盤も入った大きな分電盤を移設させる場所がないこととなり、断念!

そこで思いついたのが、隠し扉です。要は、分電盤を出来るだけ目立たさない。そして、お客様に視認されにくくする手法を採ったのです。

そこで、新に造作壁に設け、 極力建具を意識させないために、建具枠をフレームレスにする必要がありました。開口枠(建具枠)を3mm厚のスチールプレートを設定しました。 (以下の作図参照)

a 部詳細図

このようにスチールプレートを使用した建具枠の収め方は、全面ミラー貼りの壁面に、建具を設置する方法にも応用出来ます。

続いて、建具についてですが、法規上での問題と耐久性を考慮し、軽量化した鉄扉にしました。(a部詳細図を参照下さい)

気がかりなのは、H=2400mmもある鉄扉を開閉するには、最低で3箇所に蝶番を取り付ける必要があります。 そこで、特殊な蝶番を使って開閉させることにしました。

この特殊ヒンジは、点検用扉に特化したヒンジで、平蝶番のように軸などが一切、表に出ない仕口になっています。

最もネックだったのが、ハンドルと鍵でした。 設計当初は巾木付近にツマミ兼用の鍵を取り付けていたのですが、この状態では上部の固定まではできませんでした。

そこで、鍵とハンドルだけは上下にしっかりと固定出来るように鍵付きの平面ハンドルを採用しました。 そして、片側の扉にはフランス落としも取り付けるようにしました。

収め方について、より理解していただけるため、以下の断面詳細図を確認してください。

まあ、これでなんとか収まりはしましたが、ちょっと考えさせられましたね。何にでも困難ってありますね。さすがにこの収めは勉強になりました。

反省点としては、かなり大きな点検口なので、仮に開閉の頻度が高いとするならば、建具にも補強が必要かと感じます。ですから、その場合は建具に補強材として角パイプを裏面に溶接処理することもひとつの案だと思います。

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