『ニッチ』とは、壁面の一部に設けたくぼみ!
現在は、住宅にも壁面のアクセントとして採用されることが多く、花瓶などを置く飾り台となることが多いものです。 各辞書・辞典からの解説 「ニッチ」について、他の角度からも内容を見ていきましょう。
(1)「デジタル大辞泉」より 「デジタル大辞泉」において「ニッチ」とは、1つ目の意味が「西洋建築で、厚みのある壁をえぐって作ったくぼみ部分。彫像や花瓶などを置く。壁龕(へきがん)」、2つ目の意味が「ある生物が生態系の中で占める位置。生態的地位。」、3つ目が「橋・トンネルなどのわきに設けられる非常用の退避空間」、4つ目は「市場で、大企業が進出しない小規模な分野。また一般に、普通には気づきにくいところ。」となっています。リフォーム、リノベーション用語としては1つ目の意味が該当します。
(2)「リフォーム用語集」より 「リフォーム用語集」において「ニッチ」とは、「壁の一部を凹状にくぼませた部分。小物などの飾り棚的に利用されることが多い」と説明されています。
(3)「家とインテリアの用語がわかる辞典」より 「家とインテリアの用語がわかる辞典」において「ニッチ」とは、以下のような文章で説明がされています。 「壁面の一部に設けたくぼみ。もともと古代ローマ建築など石積みや煉瓦(れんが)積みの建物に多く、上部はアーチ状になっている。現在は一般の住宅にも壁面のアクセントとして採用され、花瓶などを置く飾り台として利用される」
(1)〜(3)を合わせてみると、リフォームやリノベーションにおいて「ニッチ」とは「壁面の一部に設けたくぼみ」のことであるとおわかり頂けたと思います。(引用元:HAGS)
内装業界でいう『ニッチ』とは!
上記、HAGSさんのサイトでは、あくまで住居からの視線で、説明していただいています。しかし、店舗の場合も同様の『ニッチ』と思われる空間は確かに見られます。
今回の作図も同じように壁面を、あえて凹み付けるというか、什器を埋め込むといった施工方法で行いました。
業界では、このことを『ニッチ什器』と呼んでますが、定かではありません。しかし、目的は上記と同じであって、壁面のアクセント要素を担っていると考えます。
今回の作図事例は、本来の『ニッチ』とは若干ニュアンスの違いがありますが、本来の『ニッチ』的要素の空間は、確かにあります。
作図説明
この作図事例は、大きなラウンジの一部です。そして、周囲の通路からラウンジスペースに上がる階段部分に設置した書庫の作図です。
トップ画像は、まず左上に平面詳細図があり、その下には立面図が、2面(表と裏)が表現されています。表はグリッドで構成されたまさに本棚です。
裏側は、バーカウンターのバック棚で、ボトルなどのディスプレーとなり、2面ともこれといった凝ったことはしていません。間接照明程度です。
ラウンジということもあって、全体的にホワイトベージュ系のクロスと濃い目の木目が落ち着きある空間になっています。(作図参照)
それでは、以下の断面詳細図をご覧ください。
左は、カーテン取付けとなってます。右については、書庫とカウンターバックの棚となってます。どちらも間接正面が取り付けられてます。
軽量鉄骨とプラスターボードで、組まれた壁にニッチ(凹み)を作り、そこに作り付けのボックス状の書庫と棚什器を埋め込む構造になっています。
再度、間接照明位置などを確認してください。こう見ていると、間接照明というより演出照明といった方が良いかもしれませんね。
作図ポイント
作図ポイントといった大袈裟な箇所は特にありませんが、下の二点の納めは理解して覚える必要は感じら得ます。間接照明の取付けとインロー式での什器固定です。
以下の平面詳細図を見てください。書庫には照明取り付け部辺りに116mm の空間がありますが、この空間が、ニッチ空間でもあって、とても大切な箇所となります。
と言うのも、この書庫の四方に取り付けた間接照明がニッチ内で、書庫を浮かび上がるような演出となるからす。この場合の納め方については、支える箇所(固定箇所)がないので、要所要所にインロー式を取り入れて固定します。
下の縦断面図に、かろうじて補強インローパイプが確認されます。そして、間接照明も確認できます。このインロー式は、よく使用されていて、主に棚類やハンガーなどの固定に用いられます。(断面詳細図と以下作図参照)
注意点としては、このインロー式パイプの長さです。この事例では、130mm です。ちょっと足りない気がします。せめて200mm は欲しい!
たまにあるのですが、短すぎると家具の自重で落ちる可能もあります。取り付ける家具のデプスに対して、この約半分、すなわちこの場合だったら、150mm は必要です。
最後に、今回のように、間接照明を用いて書庫を浮かび上がるような演出は、よく使われていています。ホテルの壁面など、ちょっとお洒落な空間を作るにはもってこいの手法です。
ただ、あまり使いすぎると嫌感走りますので、適度な量で処理してください。後、カラーリングを施しても良く考えてください!
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