サイトアイコン 図面屋.com 店舗設計詳細図「虎の巻」

《柱造作》柱巻きに行灯サインを設置した作図事例

20年前、百貨店での仕事が多発した時期で毎日がてんてこ舞いの生活でした。そのとき携わった『トミー・フィルフィガー』の柱図です。今では押しに押されぬ人気ショップとなっていますが、当時は無名の百貨店ブランドでした。

トラッドが中心でしたから、今はそんな雰囲気も跡形無く消えています。私も好きなブランドでしたから、欲買いに行ったものです。また、この頃は無名→有名にするために、以下のようにファサードの柱を使用して、インパクトのあるサインを打ち出すブランドは少なくなかった気がします。


トミーヒルフィーガー近鉄和歌山店_2000.04
■サイズ■仕様
W1190×D1300×H2700
図面参照
柱:12.5mmP.B貼+不燃化粧板下地
ラッカー塗装仕上げ 7分ツヤ有
笠木面材:ラッカー塗装仕上げ 7分ツヤ有
行灯部:t3mmクリアアクリ+フィルム+t3mm乳半アクリ
■備考
難易度:初級編/★☆☆☆☆

作図解説

さて、以下のパースを見ながらお話しをすすめますが、ファサード面に行灯サインを取り付けた柱巻きの造作図です。トラッド色を演出するために共通の面材を施しています。

柱四面をブランド色とサインで演出して、新ブランドとしての価値を挙げようと意識しているのがよく分かります。

通常のように柱シにステムを取り付け、そしてパーツを付けるようなことは一切取していません。売り場をこの柱で印象づけシンボリックに強調してるあたりが、他の売場との差別化でしょう。

イメージスケッチがありましたので、参照下さい。

イメージ

事例の行灯の前にはディスプレー用に、テーブル什器とショップオリジナルのT字型ハンガー什器を配置しています。

このディスプレーバックのビジュアル演出として、柱の行灯サインが効果を担っています。

柱造作について、特に難しい考え方はしていませんが、二つほど抑えておくべき点があります。

ひとつは、施設側から指定された不燃仕様への対応です。軽量鉄骨(以下LGS)とプラスターボード(以下PB)で柱を覆い、現場にて塗装する工法が最も一般的とされています。

しかし、今回はPBを貼った後に、あらかじめ塗装を済ませおいた不燃化粧板を仕上材として、現場にて貼ることにしました。これについては、現場での作業量を省き、工期短縮につながる事を考えました。

というのも、百貨店の場合は工期が無く、下手をすれば1日という工期もありうるからです。

さて、話を戻しますが、この不燃化粧板の代表的なものがダイライトで、木造住宅の外壁などに良く使われる建材です。厚みやサイズも豊富にありますので、重宝します。詳しくは下記メーカーサイトを参照下さい。
⇒ ダイライト(ダイケン)

ふたつ目は、行灯内部の寸法についてです。(a部詳細図を参照下さい)

不燃仕様の木工パネルで組んだ行灯ボックス内部に、40WのFLトラフを5灯取り付け、ビジュアルサインの盤面には厚さ3mmのクリアアクリと同厚の乳半アクリとでフィルムを挟み込むようにしています。

この照明器具と盤面との間を少なくとも100mm以上離して、照明器具の映り込みを防ぐようにしているところが、ポイントなんです。

適切な距離を離していない実例写真を見ていただくと一目瞭然です。ビジュアルサインではありませんが、照明器具のシルエットがぼんやりと見えていることがわかります。

この状態では折角の光の演出効果が半減してしまいますので、行灯ボックスの内寸は、照明器具と盤面の距離を適切な寸法にして設計する必要があるのです。これについては、街中をリサーチしてみてください。

最後にミラーと面材との取り合いを描いた詳細図もありますので、参考程度にご覧下さい。(b詳細図を参照下さい)

作図ポイント

行灯サイン内の照明器具が、映り込むことが少なくないので、防止のために照明器具の取り付け位置は、適切な寸法をとることが重要です。そして、器具の配列にも注意しておいて下さい。

盤面全体を均等にムラなく光らせるために、最適な照明器具のピッチをサインの業者さんや照明メーカーに問い合わせて見るのも得策です。

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