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多機能なサービスカウンター什器の作図事例

三越銀座店_2010.08
■サイズ■仕様

W800×D500×H1000
図面参照
本体:木下地染色CL仕上げ(天板のみメラミン化粧板仕上げ))
■備考
2020.11.16

背景

2010年。この年は全国的に百貨店の大規模なリニューアルが頻繁になりはじめた頃でした。そんななか、関東の有名百貨店の改装工事に伴う実施設計にかり出され、直営売り場(平場)の多くの什器図をスタッフ共々描いてたこともありました。ややこしい基本設計は読みづらかった。

作図解説

今回の作図事例は小さいながらも収納機能が豊富なサービスカウンター図をご紹介します。おそらく、サービスカウンターとして必要な機能のほとんどが集約されている什器と言えます。



妻板を挟んで左側(上の図)には、引き出しが2箇所と下部には大型の紙袋を収納できるように9mm厚の仕切り板を取り付けてあります。この仕切り板は差し込み式となっていて、自由に抜き差しができるように上下の固定棚には溝を彫り込んでいます。


次に、右側上部(下の図)には、ノートパソコン、中段にはファックスやプリンターなど、下段には顧客名簿を収納できるようにしています。ノートパソコンは、スライドレール付きトレーに乗せて出し入れ可能とし、扉を開いた時にトレーの補強台にもなるようになっています。

中段には6台の機器まで対応できるマルチタップ電源とLANのジャックを取り付けてあります。また、ここにもスライド式のトレーを設置して、プリンターなどを出し入れできるようにしました。

これらの機能はすべて引き出しと扉の内部に納めているので、収納内部をお客様に見られることはないでしょう。

この結果、電源が確保出来るところであれば、どこにでも設置可能なサービスカウンターとなっています。

意匠的にも凝ったデザインはなく、天板と底板の見付にシャンパンゴールド仕上げのフラットバーを取り付けているぐらいのシンプルなデザインです。

納め方のポイントとなるのが、PCトレーを収納する箇所です。このPCトレー部分をわかりやすくするために拡大した詳細図があります。

下吊り元の扉の下に20mm×20mmの角パイプを取り付けてあるのが見て取れますが、この角パイプが、扉下端までの空き寸法が扉の厚みと同じ20mmの設定にしているところがポイントです。

この20mm空いた所に扉の根元がすっぽり入る仕組みにして、PCトレーを支える補強台にしました。扉の開閉に使用している蝶番はドロップ蝶番です。

ドロップ蝶番とその使用例写真
画像引用元

作図ポイント

大きなポイントは、前述したドロップ蝶番の納めです。結構な頻度で描かなければなりませんから、是非覚えておいてください。もうひとつは以下にあります。

スライド式トレーと扉が接する部分には、扉を閉めるときの衝撃で互いを傷付ける可能性もあるので、必ずクッション材を取り付けること。また、配線経路の確保も重要ですので、各箇所に開口を設けることも忘れないようにしてください。

上記をしっかり把握して勉強すれば、素晴らしい図面屋さんが誕生します。頑張ってください。レベルは星3つってとこですね。

最後に大切なことがあります。それは、このような複雑な什器の製作図を描くときは、必ず平面詳細図を描くようにしてください。普段、断面詳細図は見慣れていますが、この平面詳細図こそキモになるところです。

お願い致します!
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