サイトアイコン 図面屋.com 店舗設計詳細図「虎の巻」

《SF_001》CD試聴什器の作図事例と詳細図

■サイズ■仕様
W600×D600×H2100
図面参照
本体:t=1.5mmスチール粉体塗装仕上げ
詳細は図面参
■備考
1999.09.15作図
■難易度:中級編/★★★☆☆

作図説明

この作図事例は、婦人服メーカーのアンテナショップ計画で作図した、CD視聴用什器の姿図と詳細図です。

新しいショップの構成としては、壁面什器と中央什器が中心でしたが、その中にひとつだけ少し変わった什器がありました。それが、このCD視聴用什器です。

正直なところ、アパレルショップにこの什器を設置する意図は、今見ても少し不思議に感じます。CDショップや楽器店であれば自然に見える什器ですが、婦人服売場の中に置くとなると、かなり異質な存在です。

おそらく、単なる販売什器というより、ショップのアイキャッチャーとして計されたものだと考えられます。人気のCDやショップイメージに合った音楽を見せながら、来店客の足を止める役目を持たせたのでしょう。

構成としては、CDラック、視聴用ヘッドホン、操作パネルを組み込んだシンプルなものです。本体はスチール曲げ加工を主体にしており、仕上げは通常の焼付塗装ではなく、粉体塗装で処理しています。

四方の面には、CD受けを取り付けたスチールプレートを化粧ビスで固定し、下部ベース内には音源機器やコントロールBOXを収納するスペースを設けています。

メンテナンス用の蓋にはピアノ蝶番とマグネットラッチを使い、機器の点検や交換がしやすい納まりにしています。

作図ポイント

この什器でまず気になるのは、やはり形状の安定感です。

上部にやや広がりのあるデザインを持たせ、中央の支柱で立ち上げる構成になっているため、見た目としてはかなり目を引きます。ただ、その反面、店舗什器として考えると転倒リスクが気になる形状でもあります。

店内什器は、見た目の面白さだけでは成立しません。

お客様が通路で接触することもありますし、子どもが手を掛ける場合も考えられます。特にこのような自立型の什器では、ベース部分の重量と床面での安定性をしっかり検討しておく必要があります。

その対応として、この図面では下部ベース内にウェイトを入れる納まりにしています。見た目では分かりにくい部分ですが、この処理があるかないかで什器としての安心感は大きく変わります。

また、操作パネル、ヘッドホン、音源機器、コード類が絡むため、意匠だけでなくメンテナンス性も重要です。

背面側に開閉蓋を設け、内部機器にアクセスできるようにしている点は、実施設計として押さえておきたい部分です。

CD受けのスチールプレートを化粧ビスで止めているところも、図面としては見ておきたいポイントです。交換や調整のしやすさを残しながら、意匠としても少しメカっぽい表情を持たせています。

粉体塗装とは

従来の液体塗料と違い、粉末状の塗料で人体への影響が極めて低く、塗り重ねる回数も少なくて済む経済的で、環境に優しい塗料の仕上げ方です。

詳しくはこちら⇒ 粉体塗装(パウダーコーティング)とは

所感とまとめ

アパレルショップの什器として見ると、かなり変化球の事例です。

洋服を売るための什器というより、ショップの空気感を作るための装置に近い印象があります。音楽、ビジュアル、商品イメージを絡めて、売場に少し違うリズムを加えるための什器だったのかもしれません。

ただ、図面屋として見ると、意匠の面白さよりも先に「これ、倒れへんか?」という心配が出てきます。こういう什器は、形が面白いほど安定性やメンテナンスの検討が大事になります。

今回のように、ベース内にウェイトを仕込み、内部機器の収納と点検スペースを確保し、各面のCD受けも交換しやすい形で納めておく。そうした見えない部分の積み重ねが、店舗什器としての完成度につながります。

少し不思議な什器ではありますが、アンテナショップらしい遊び心は感じます。

実際の売場でどこまで効果があったのかは分かりませんが、図面としては、意匠・機器収納・安定性を同時に考える必要がある、なかなか面白い作図事例だと思います。

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