作図説明
店舗や商業施設の天井造作でよく見受けられるのが、堀上天井と間接照明の組み合わせです。特に、天井高がそれほど高くないスペースに、このような間接照明を取り入れると、時として空間をより広く見せる効果もあります。
また、今回の作図事例のように、ライン形状の照明ボックスを使っている施設も多くあります。というのも、スポットライトやダウンライトをボックス内に納めてしまえば、天井面をスッキリさせることが出来るからです。
今回は、このライン形状の照明ボックスについてお話を進めることにします。
まず、大きく2種類の方法があります。
1つ目は、上記の作図のようにスチールやボンデ鋼板などで別途製作、すなわち工場で製作して現場で取り付ける方法です。利点は、ある程度の意匠に対応出来ることです。ただ、コストは厳しくなります。
2つ目は、上記の天井材(プラスターボード)を用いた現場施工での方法です。現場での下地からの組み立て作業となり、複雑な形状には対応しがたく、手間が掛かり職人泣かせという面があります。しかし、ローコストで仕上げることが出来ます。
確かに、どちらも一長一短ありますが、私の場合は施設の規模や空間、そしてコストを理解して進めて行くことにしています。
次に本題に移りますが、作図する際に押さえておきたいポイントが有るので、お伝えしておきます。(私的な考え)
《スチール・ボンデ鋼板での施工》
ボックス自体の形状と設置する長さによって、ジョイントが必要になるという点です。ですから、ボックスを分割しなければならない点です。これに付いては、どのような造作物や、ロング什器にも当てはまります。
また、上のように金物見切りとプラスターボードとの接点には、必ず1mm〜2mm程度の段差を付けておくことです。これを「チリ」って呼んでいるのですが、サッシや建具枠を設置するときと同じ考え方です。
事例では、この段差を寒冷紗とパテ埋めて同面にしていますが、これは、必ず覚えて欲しい内容のひとつです。(絵面では、ちょっと斜めになっている箇所です)
《プラスターボードでの施工》
一方、現場での施工となると大きな面の堀上天井であったり、小さくてもシンプルな形状に限定されます。参考画像の会議室天井に写っている弁当箱のようなライン形状を仕上げるには物理的な条件が伴います
それは、職人さんの手作業での限界を考慮に入れることです。仮にスチール製であれば、100mm×100mmの照明ボックスの製作も可能ですが、プラスターボードで同じサイズの堀上天井を旨く仕上げることはある意味、至難の業です。
聞いた話では、不燃ボード(ダイライトなど)を利用して現場作業では無く、事前に工場で作ることが多いようです。やはりスピード感を持ってのことでしょう。
最後になりますが、この2つの事例ではどちらの断面図にも19mm×19mmの角パイプフレームを下地や補強材として使用いています。
覚えておくこととして、天井下地材の軽量鉄骨とプラスターボードとの隙間が、ちょうどこの角パイプサイズと相性がいいのです。ですから、天井造作図を描くときは、19mm×19mmの角パイプをよく使います。
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