デザインが先行しすぎた事例!
今回は、かなり風変わりなウインドウの作図を紹介しましょう。まずは、ザックリ見ていってください。かなりと言うより、何か奇をてらった感もあります。
クライアントから入手下のは基本設計段階ですから、実施図(施工図)となるとかなり厄介でした。依頼内容も特になかった気がします。『おまかせ!』って奴です。
信頼して貰ってるのかどうかは解りませんが、依頼した本人もこちらからの質問にたじたじでしたから、きっと実施図を理解していないのかもしれません。
そんな、厄介なウインドを進めていきましょう。
■サイズ | ■仕様 |
W1078×D518×H2746.5 図面参照 | 化粧柱:スチール角パイプ_黒皮調仕上げ ガラススクリーン・ガラス戸:t=8mmクリアガラス飛散防止フィルム貼り仕上げ 棚ガラス:t=8mmクリアガラス(固定式) |
■備考 | |
難易度:上級編/★★★★☆ |
作図解説
まず、この図面を進めていて感じたことは、「一体、このウインドウをどう扱うのだろう」なんて思いました。これだけの狭いスペースですから、大したことは出来ません。
ただ、粗野な黒皮の角パイプが乱立した中で、何を飾るのか!ということです。商品も見にくいし、これでは顧客に申し訳ないと。まぁ、デザイナーの個性と言えば個性ですが、私には全く理解できませんでした。
ですから、参考程度にしておいた方が良いでしょう。
ただ、化粧柱の納めについては多くのヒントがあります。これだけはしっかり覚えていても損は無いでしょう。では、その内容とは!
それでは、機能について話しましょう。上の図面には、断面図とそれぞれの詳細図がありますので、ゆっくり見ていって下さい。
左はトップ画面と同縮尺の断面図、そして a,b,c の部分詳細図です。
そして、右側にはこの化粧柱のイメージスケッチがありますが、これが今回の作図ポイントとなります。『キモ』ですね!(笑)
作図ポイント
断面図を拡大しましたが、化粧柱の納め方が確認出来ると感じます。
まず、これを固定しなければ成り立ちませんので、天井と床で固定することにしました。
この納めについては、何処のショップでも行っていることことですから、珍しくはありません。
大概が壁面のシステム什器です。角パイプや丸パイプにシステムを付けて、棚板やハンガーバーなどを取り付けます。
その角パイプに事前に取り付けておいた、ベロ(スチールフラットバーを切り取った小片)にクリアガラスをのせます。ただそれだけの仕組みです。
このような事例、きっと皆さんも目にしていることと感じます!
さらに拡大した部分詳細図が、以下にあります。ここまで大きくしたら理解も早いでしょ!天井での固定方法と床でのそれが、これでかなり明確になりますね。
ここで気づいて欲しいのが、インロー金物って言葉です。インロー式での固定方法なのですが、これがこの作図事例のポイントなのです。
前述した内容の繰り返しですが、各詳細部分と引き出した指示を見れば、もっと理解できると確信します。全ての納めがこれとは言いませんが、この現場での納めはこれが順当な納め方でした。
ですが、ちょっとイレギュラーな納めとなってます。
普通、このような柱はケンドン式(上げて下ろす)が妥当な方法となっていて、天井を貫通させて床で何らかの固定をします。
しかし、今回はこの柱が天井を貫通できない条件でした。
そこで考えたのが、スケッチのような納めです。
まず最初に、天井面へインロー式補強金物に溶接したボルトだけを貫通させ、軽量鉄骨のMチャンネルにナットで固定させます。
続いて床固定ですが、図面ではアンカーでの固定を指示しています。そして、上下の固定が終わってから、化粧柱を差し込むというか、この場合左から右にスライドさせてビスで固定します。
このショーウインドでは、化粧柱が多いため、この納めが一番と考えたわけですが、問題もあります。
それは、上下の固定カ所にインロー式での補強金物と化粧柱との接合部分にラインが入ることです。
まあ、それほど目立ちはしませんが、私としてはちょっと・・・・・。
納め上どうしてもラインが出てしまうので、現状ではどうしようもありません。
これが、現実です。
最後に断面図の拡大版を載せて終わりとします。インロー式での固定とガラスの納めが、しっかり描かれてますので、是非自分の引き出しを増やしてください。
デザインについては、参考程度で!
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