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汎用性があり落下防止を意識した吊りサインの作図事例

天吊りサインの落下問題

商業施設に関わらず、店舗でもそうですが、”天吊りもの”についてはかなり気を遣います。
だって、何か(地震)あれば落ちてくるわけですから、たまったもんではない!

特にデザインの凝っているものはかなりの注意が必要です。
絶対に落ちない”天吊りもの”を今までいろいろ考えてきましたので、落ちないこつも掴めました。

いずれにせよ、現場に入ると絶対に落下しない方法を考えますし、そうしなきゃ図面屋として生きていけませんからね……。(大笑)

それで考えたのが、以下の図面です。
若干の複雑さを感じますが、納まりといては申し分がありません。

ちなみに、このサインは大型商業施設に配置したコーナーサインです。
ですから、コーナーによって両サイドの木パネルの色を変えて変化を付けました。

取りあえず、図面を読み取ってください。

■サイズ■仕様
W2600×D50×H400
図面参照
木部:ラッカー塗装仕上、金物部:スチール焼き付け仕上
その他は図面参照
■備考■難易度:中級編★★★☆☆
※納まりはしっかり読み込まないと理解出来ません!

作図解説

まず、図面構成は、S=1/10で平面図、立面図、1/5で断面図でまとめています。
そして、一部、納めを具体化して描きました。

以下の作図参照してください。上が、平面詳細図と立面図の一部です。

このサインパネルは中央部の本体と、左右のベージュパネルとで構成された吊りサインです。まずは中央部の本体について説明していきます。

ラッカー塗装仕上げの本体には、事前に21mm×21mmの角パイプフレーム組みを内部に仕込んであります。

このパイプフレームは、サインパネル全体の補強と、左右のベージュのパネルを差し込むためのインロー式のフレームとを兼用させています。

また、天井からの吊りパイプは、このインロー式のフレームにボルトとナットを用いて固定するようにしています。

このフレーム構造にしたことで、パネル本体に吊りパイプを固定しているものよりも強度と安全性が飛躍的に高くなります。

トップ画像と上記断面詳細図をしっかり読み取って理解してください。

続いて、左右のベージュのパネルについてです。

左右のパネルに本体から伸びたフレームを差し込むので、パネル上部には3分の吊りボルトが通る程度の溝が必要となります

断面図に明記してあるように長さ308mm×14mmの溝を設けています。パイプフレームとの引っかかりシロを考慮してもう少し小さい10mmから12mm程度の溝にしても良いかと思います。
(断面図参照)

作図ポイント

以下は、今回の作図ポイントとなりますが、前述した内容を踏まえ、以下断面詳細図を見れば納めの内容が理解出来ると思いますが如何でしょう>?

私思うに、出来るだけサインを一個ものに近づけることが、落下しにくくなる条件だと考えます。
この方法が一番とは言えませんが、良作だと感じます。

今回は、基本的フレームを軸にして、両サイドのパネルを取り付けして天井吊りとした考え方です。
考え方は、シンプルですが図面はキツかったって感じでした。

これもまたそうですが、凝ったサインは厳しいと言ったのは、分割方法に問題があるからです。

後記

当時、マイカルのサティの環境設計をしていたときに、どちらの店かは忘れましたが、天井吊りサインが、地震の影響で落下したという情報が入りました。

その後、各店が一斉に天井からの吊り造作に対する安全対策が成されるようになりました。

今回の作図事例は、上記の対策に応えた私なりの天井吊りのサインパネル詳細図です。

一昔前までは、もっと簡単な納めで通用していたのですが、落下防止のために安全性を重視した吊りサインの一例でした。描いたのは、確か2008年前期のものです。

長々とありがとうございました。


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