フロントエリア 片面オープン
■サイズ■仕様
W1630×D500×H1200
その他図面参照 
木部:化粧板仕上げ
金物部:スチール焼き付け仕上げ
■備考
業態:コスメショップ
作図:2012.11.12
 難易度:初心者:★★★☆☆/3.0
※断面図はs=1/10で描いた方が良い

作図解説

この作図事例は、化粧品売り場で使われた片面オープン什器の姿図と断面図。

忙しいさなかに、紹介された設計・施工会社から依頼を受けた案件で、「最低限の図面でいいから」という条件で、化粧品売り場の実施設計を請けた記憶がある。

作図範囲は、化粧品のテイスティング什器から壁面の陳列什器まで。基本図をもとに、実施図として使えるところまで落とし込む作業だった。ただ、平面図が見当たらなかったので、そこは少し苦労した。とはいえ、依頼者側が若干の情報を持っていたので、業務としてはそこまでヘビーなものにはならなかった。

今回の什器は、図面ファイルでは「プロモーション什器」となっていた。平面図が無いので断定はできないが、展開図を見る限り、おそらく店頭でディスプレーを兼ねて使う什器だったのだろう。

什器トップのバックパーティションはミラー貼り。さらに棚ガラスには照明を仕込んで、商品を見やすくしている。化粧品売り場の什器として描かれているが、この構成ならアクセサリー売り場でも十分に通用しそうだ。ミラーの使い方や商品の見せ方を考えると、むしろアクセサリー系にも相性が良いように感じる。

ただ、図面を見て少し気になるのが、棚下照明まわりの電源処理。図面内には明確に表現されていないが、照明を入れる以上、ラインコンセントや配線経路の検討は必要になる。おそらく、スチールフレームの左右どちらかにラインコンセントを設ける納まりになるだろう。

ピンクで囲ったのが今回の事例什器

作図ポイント

作図として見ると、正直なところ少し簡易的な仕上がりで、「パッ!」とする図面ではない。当時の若いスタッフが描いたものだと思うが、実施図として考えるなら、もう少し丁寧にまとめてほしかったところだ。

まず気になるのは、スチールフレームと什器本体の固定方法。次に、棚下照明の配線経路とラインコンセントの有無。このあたりは、製作や現場施工にそのまま関わってくる部分なので、図面上でもう少しはっきり表現しておきたい。

それと、紙面の構成にも少し物足りなさを感じる。立面図、側面図、断面図は一通り入っているが、細部を読み取るにはやや窮屈。こういう場合は、断面図だけでも縮尺を変えて、1/20ではなく1/10程度で描いた方がわかりやすい。

什器図の場合、平面図や立面図、側面図は全体の意匠や機能を確認するための図面。一方で、断面図は寸法、素材、固定方法、配線など、製作に必要な情報を伝えるための図面になる。

だからこそ、図面全体が多少簡易なものであっても、断面図だけは見やすさを優先したい。ここが詰まっていると、せっかく図面を描いても、読み手に必要な情報が届きにくくなる。

所感とまとめ

今回の図面は、大きく間違っているわけではない。什器の形状も構成も、ひとまず理解はできる。ただ、実施図として見ると、もう一歩踏み込んだ表現が欲しい。

特に、スチールフレームの固定、棚下照明の電源処理、ラインコンセントの位置。このあたりがもう少し明確になっていれば、図面としての信頼度はかなり上がったはずだ。

私は常に「見やすい図面」を意識している。線がきれいとか、見た目が整っているとか、それも大事ではあるが、それ以上に大事なのは、必要な情報が無理なく読み取れることだと思っている。

その意味で、断面図は什器図の中でもかなり重要な役割を持っている。平面図や立面図で全体を伝え、断面図で納まりや寸法を伝える。ここがしっかりしていると、図面全体の説得力が変わってくる。

見にくい図面ほど、描き手として心苦しいものはない。今回の事例は、そういう意味でも、断面図の大切さを改めて感じる作図事例だった。

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