この作図事例は、良い風合いに仕上がったオープンタイプの棚什器です。たしか、トラッドのショップで描いた作図です。特徴は、木調と古美術風メッキです。
天板と各固定棚の見付には、坊主面の面材を四方に回し、全体的に柔らかい印象を与えるようにしました。
木部の素材には衝撃や水にも強いナラ材を使用しています。
この耐久性、耐水性が高いという特徴から床材などでよく使われている木材です。見た目も、細かな木目の綺麗さで高級家具の素材としても人気があります。
■サイズ | ■仕様 |
W1500×D850×H1200 図面参照 | 天板:ナラ材染色CL+t8㎜クリアガラス落仕込み 固定棚:ナラ材染色CL 支柱:φ31.8スチール丸パイプ古美色風メッキ仕上げ ※棚下照明器具 |
■備考 | |
難易度:中級編/★★★★★ |
作図解説
フォルムがシンプルで汎用性がある什器です。
三面図を見ている限りそれほど難しさを感じなしとお思いでしょうが、作図右側にある断面詳細図を見ているとかなりの厄介さを感じるでしょう。
そうなんです!かなり厄介であって、如何に納めるかが勝負の行方を決めます。かなり苦労しました。
棚板とそれを支えるパイプの組み立てには、何度もスケッチをしてその強度も確認しました。
これまでにご紹介してきたいくつかの事例でもお話ししたように、パイプと固定物(ここでは棚板)の接地面を大きくして強度と安定性を高める固定方法を応用した一例です。
作図ポイント
下の a詳細図 を見てください。31.8mmの丸パイプが確認出来ます。
その外に四角の破線は、この丸パイプの座です。この座にビス止めして、各棚板を固定していきます。
しかし、座となる60mm×60mmのスチールフラット片では、見てくれが良くないので、フラットバーを切り出しにした丸の座に変えました。(断面詳細図確認!)
これを理解した上で次に進みます。
かなり厄介ですから、まず下の断面詳細図をしっかり読み取ってください。(15分)
天板からステージまでの支柱は全て同じパーツで構成しています。
直径31.8mmのスチール丸パイプの支柱に上下にプレートを溶接処理して、天板や固定棚をビスで固定する取り付け方法にしています。
しかし、ここで思ったのが、「この納めで持つかな?」って。ちょっと心配になりました。
結果、より強度を増すために上から差し込むインロー式としました。
そして、それぞれの丸パイプに溶接するプレート(座)は上下でサイズを変えてあります。
天板と固定棚の底面に接する上部のプレートは、人の視線から隠れているので60mmFBの大きさにしています。
変わって下部のプレートは棚の上面に取り付ける事になるので、どうしても見えてしまいます。
前述したようにここは、丸のプレートを使いました。
そのため、荷重に耐えれる最小限のサイズのφ45mmFBを使用しました。
a部詳細図は天板と支柱、そして上部プレートの位置関係を表しています。(丸にに変更して断面図は描いてます)
しかし、描きながらここまでインローパイプを深くすれば大丈夫と確信しました。
ちょっと、いやかなり厄介な図面となりましたが、ここはしっかり読み取ってください。
苦労したのが分かって頂けますから。
元々の図面は、かなり酷いものでした。きっと、厄介だったんで、簡単に済ませたみたいです。(笑)
まとめ
店舗を造っていたら、とても厄介な要求がやってきます。
しかし、なんとかしないとクライアントに迷惑がかかる。という考えで日々奮闘してますが、この作図だけは大変だったので記憶に残ります。
最後に、天板と固定棚に取り付けた棚下照明は木の表情を活かす為に、棚底面に埋め込んでいます。
しかし、30mmの棚厚にたいして22mmの照明器具を埋め込むと、棚板を欠ききる部分だけ薄くなり強度が下がります。
最近では、LEDが普及しているので、比較的浅い埋め込みサイズでも安心です。
隠す事ができるLEDタイプの棚下照明では12mm程度で済みますので、この事例を参考にされる場合はLEDタイプに置き換えると良いでしょう。
参考までにLED棚下照明の参考資料を添付しておきます。
尚、写真はかなり前のものです。
変更の恐れがあります。
薄型LED棚下照明:UNITY UTL-9038-30
長々とおつきあいありがとうございます。
また、乱文お許しください!
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