無謀な発想だけど面白いファサードのあり方
この柱巻きのショーウインドウ。今まで考えつかなかった発想で、ある意味面白い!ファサードの考え方を逸脱した見せ方です。
おまけに、着想感を見せるのではなく、ウインドウ内はガラス棚。この手法で、どうVMDを表現するのか想像も付かなかった。基本設計はここまで詳しく描かれておらず、実施設計はかなり苦労しました。
そんな突拍子な、『ファサード柱を巻き込んだショーウインドウ』が、今回の作図事例です。下の図を見てください。といっても、ちょっと見にくいので下に拡大図を入れます。
■サイズ | ■仕様 |
W1756×D1454×H2200 図面参照 | 支柱:100×100スチールH綱塗装仕上げ(白) 補強フレーム:100×100スチールH綱塗装仕上げ(白) スクリーン:t8トーメイガラス+飛散防止フィルム貼り *その他図面参照 |
■備考 | |
難易度:上級編/★★★☆☆ |
作図解説
これだと理解出来ると思うんですが、如何です? かなりややこしくて嫌感走りそうな図面ですね。まぁ、実施設計ですから仕方がありません。
では、しっかり読み取ってください。
四方を100mm×100mmのH綱を基本フレームとして構成し、四面をt=8mmのクリアガラスをFIX(一部も有り)させ、三面に、同仕様のがガラス扉で成り立ってます。
ちょっとややこしい気もしますが、しっかり見ていくと納得できます。ですから、みなさんも時間の許す限り読み取り、理解してください。
念のため、立面図も入れておきますので、平面図と下の立面図を照らし合わせてください。きっと理解が深まるでしょう。尚、断面図については、トップの画像で理解できると思います。
作図ポイント
今回のポイントは、H鋼材と四方のウインドウであるクリアガラスの納め(留め方)になると思います。
まず、下の a部詳細図を見てください。
ここでは、まず基本フレームとなるH鋼を四方に配置しているのですが、それぞれをボルトとナットで固定しています。
ただ、H鋼のエッジを正面に見せる組み合わせをしているので、ジョイント箇所にスチールプレートを溶接して固定させました。
この納めは、四方に4箇所あります。それにガラス固定用のφ25mmのスチールパイプを溶接処理(事前)しておきます。以下作図の指示を見れば分かるでしょう。
注意すべきは、H鋼を組み合わせた状態です。
この状態では、揺れへの耐久性に期待が持てないため、柱の下地材に固定した16mm×16mmの角パイプにて補強を取っています。以下の b,c部詳細図で、H鋼と補強パイプとの固定方法を確認してみてください。
今回のショーウインドのガラスは、H鋼に溶接している持ち出しパイプとローレットビスにて取り付けあります。(a部詳細図)
この手法は、ガラス張りの建物などではおなじみの工法なので、街で見かけたときは、注意して見ておいてもいいでしょう。
次に、e,d部詳細図ですが、ここには、ディスプレイする商品を入れ替えるために設置した、ガラスドアのヒンジ部分を表現しています。
このガラスヒンジをH鋼に取り付け方法が、最も悩まされた箇所でした。結果的に、別注のボンデ鋼板を製作して、持ち出し金物としました。
ただ、取って付けた感が残ってしまいました。(反省)施工図はこういう当たりが難しいです。
以下は、ガラスヒンジ下部です。
FIXしたガラス、床面にコの字チャンネルを埋め込んでいますが、ガラスドアの下部にも蓋が必要となるので、気をつけて作図練習してください。
後記
今回の事例は、実際かなりの時間要しました。その割にこの考えが良かったのかどうか、竣工後にデザイナーと打ち合わせましたが、どうもクライアントからの指示だと言ってました。
まぁ、仕方がないのは分かりますが、もう少しデザイナーとしてアドバイス出来なかったのかと思います。また、ウインドウ内はガラス棚ときています。どういう方法で、顧客にアプローチするのかってね。
私だったら、着想感を狙った一点掛けのディスプレーにしますね。その横にガラス棚があったら、もう少しましな表現ができると…………。
いろいろ勉強させられますw!
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