店内階段に間接照明は必須項目かも!

さて今回は、店内階段の造作図の事例です。

過去には、たまにですが大型店の実施設計の仕事が入りました。
店舗はすでに存在しませんが、資料だけは残ってましたので、ご披露します。

最近では、こんな仕事はとんとご無沙汰ですが、仮にあったとしても奇をてらった意匠でないなら、納めはほとんど変わりはありません。

立面図は簡単ですが、施工図となると厄介さも感じます。
しかし、前述したように基本型さえ覚えれば、それほど問題は無いでしょう。(下地組は別として)

72021-03-20 08:00
物件名:B/V高松三越店_2007.01
■サイズ■仕様
W2400×D890×H600
その他、図面参照のこと
階段:t12合板下地カーペット敷き
階段見付け:スチールFB 9×50メラミン焼付け塗装
間接照明:エースライン
■備考
中級者_難易度★★★☆☆/3.5

作図解説

2枚目作図

まず、上2枚の画像を読み取ってください。(約15分)

いつもは、店舗設計する際には、飲食店の小上がり(座敷)への少ない段数であったり、ステージへのステップ代わりの階段であったりと、階段下時は木軸でも対応出来る程度が、殆どです。

しかし、この事例では納め方法についても、仕上げについても独特で重厚感がたっぷりあると感じる階段です。

壁面廻りを高くして、基本フロアとは別に回遊性を持たせることは、広い面積を有する海外のスーパーブランドだからできる特性かもしれません。

まず、トップ画像で階段の全体像をご覧下さい。

基本フロアから、600mm上がる階段で、踏み板にはカーペットを貼り、蹴上げにはスチールの焼付けプレートを取り付けています。

踏み板の先端には、間接照明を取り付けています。

淡く照らし、階段を浮きだたせる演出とお考えください。

作図に当たっては、マニュアルで展開図があったのでそれほど時間はかかりません。せっせと描くだけです。

作図ポイント

作図ポイントとしてはやはり、間接照明の詳細図でしょう。

基本的に階段を設計する場合、一段一段の蹴上げを150mm〜200mmの間で高さ設定します。

今回の事例も、基本にのっとり、蹴上げは150mm、踏み板は280mmとしました。

仕上げ材は、スチールを使用しているため、この下地には、強度のある材料が必要となります。
各段の骨組には、コンクリートブロックとモルタルで基礎を構成します。

そして、スチールを使用したのにはもうひとつ理由があります。
階段を上がるさい、まず重量が掛かるのは、踏み板の先端です。

この部分に間接照明を取り付けたので、木工下地では耐久性に懸念を感じます。
そのため、見切りを含めスチールでの仕上げとしました。

特に蹴上げ部分は、踏み板を支持するようにもなっているので、高い強度が必要となります。

断面図を理解する

それでは、断面図を順を追ってご覧頂きましょう。

断面詳細図A,B

まずは、A、B断面図です。

こちらは、階段の左側壁をカットして見ている面です。上下には15mm厚の太いLアングルを取りました。
やはり、これだけの素材を使わなきゃ、階段は保ちません。

続いてC断面図は丁度階段をカットして見た面です。
ポイントでもある間接照明との取り合い部を拡大した詳細図を用意しておりますので、こちらを参照下さい。

断面詳細図C

それぞれのコンクリートブロックに、アンカー固定した鉄筋に厚さ6mmのスチールプレートで蹴上げを造っています。

このプレートの先端には間接照明を取り付ける下地プレートとカバーのフラットバーを溶接処理して固定しています。

まとめ

今回の作事例は、勉強になりましたか?

実際に、ここまでしっかりと、しかも下地組みをした階段の作図は、なかなか見ることはないと考えます。

私も、これまで多くの店舗を設計してきましたが、あまり経験する事は無かったように思えます。

20年前の作図ですが、間接照明と踏み板との取り合いのこの作図は、今でも活用しています。

めったに見ることが出来ないだけに、みなさんにも是非覚えておいて欲しいと思います。

長々としたお付き合いありがとうございます。
また、乱文お許しください!

お願い致します!
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