後付パネル組みで設置した建具

サマンサタバサ

サブタイトルに、なぜ『後付パネル組みで設置した建具』としたのは、施設によっては一部改装のようなものがたまにあるのです。

「ここにディスプレーが欲しい」となって、大袈裟な改装が出来ず、一晩の改装で熟した物件のために、描いた作図だからです。

さて、前述した条件のこの作図事例は、フィッティングやストックの建具などに適したミラー貼りの建具だと感じます。とても汎用性が有ると感じます。

構造的にもこれまでにご紹介してきた建具と同様の納めとなっています。唯一異なっている点は、展開図を見て頂くとわかるように、この建具が隣接する什器の間に挟まれているので、開口枠がないところです。

取り付け時には、すでに左右の什器が固定された後となるので、開口寸法に対して何らかの調整が、必要となってきます。

■サイズ■仕様
W493×D40×H2500
図面参照
袖パネル:木工下地t=6ダイライト+ホワイトオーク錬り付け
建具:ディスプレー側_ホワイトオーク錬り付け
+店側_木工下地t=5クリアミラー貼り
■備考
初級編/難易度:★☆☆☆☆

作図解説と作図ポイント

上記の内容を踏まえて、その詳細図を見ながら詳しくご説明していきましょう。

平面詳細図
縦断面詳細図

まず、a 部詳細図をご覧頂くとわかるように、建具の左右は左右の什器の側板パネルとなっており、先端部分を欠き込んで建具枠の代用としています。そして、両サイドのパネル隣接部を底目地として、15mmのフィラー(隙間埋め材)を左右それぞれに取り付けました。(この手はよく使います)

この底目地は、他の什器にも共通している仕様で、連続した意匠として、デザイン性を入れたようですが、とても、上手いやり方ですね。

かわって建具の方は、極一般的なミラー貼り建具で、四方を囲む鏡面仕上げのステンレスミラーエッジと5mm厚のクリアミラー貼りとし、裏面のディスプレイ側は、ホワイトオーク材仕上げとしました。

吊り元には、蝶番の存在感を薄くするために建具高と同じ長さのピアノ丁番を使い、建具と一体して見えるようにしました。取っ手つにいても同様に、見える面が最小限となるように建具の小口に取り付けるタイプにしています。

また上記、b 部詳細図で分かるようにドアストッパー用として、小口にドアローラーを取り付けました。このドアローラーは、住宅の物置などにも使う事のある、簡易なドアストッパーなんです。

後記

これまで、多くのミラー貼り建具を描いてきましたが、そのほとんどが、作図を完全に仕上げてからの行程で、現場に入ります。しかし、百貨店の改装などは、一晩仕事となりとても大変な作業工程となります。

描く方も、また大変で、即座にアイデアを出して描かなければ、現場に追っつきません。あまりしたくは無い仕事ですが、ここは、Proなのでなんとかします。

デザイナー時代はよかったような気がしますが、『造ってる!』って強く思うのは、やっぱり実施設計を書いているときですね。忙しくなればなるほど燃えますね!やっぱり、Pro なんです。

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