冷蔵ショーケース変更もあって壁面上部の欄間を細工するハプニングに!
以下の作図は、某百貨店の地下フロアのスィーツショップの実施設計の一部です。
これがとても大変で、骨の折れる仕事だったんです。
まず、取り外し可能にした欄間パネル詳細図(ピンクで囲った箇所)なのですが、「何が大変だった!」ってことを先にお話しましょう。
本来この壁面は、通常通りの施工で進めれば、上部の垂れ壁から欄間へと続き通常の納めで描いていきます。
しかし、冷蔵ショーケースの変更と納期が、工事期間に間に合わない!という前代未聞の状況になりました。
そこで、業者や施工管理者も交えて緊急打ち合わせをした結果が、この作図事例となった次第です。
要は、冷蔵ショーケースの高さが増した分だけ、今まで進めていた工事では、変更後の冷蔵ショーケースが入らないのです。
ですから、欄間の一部を脱着式にしたという、なんとも情けない事情なのです。
こんな現場は、もう嫌だってみんな言ってましたが、私には納め図を描く責任がありますので、四苦八苦して作図を描き直しました。
ちょっと脱線気味になりましたが、まずは以下の作図を読み取ってください。
■サイズ | ■仕様 |
W2160×D130×H480 その他図面参照 |
脱着式パネル:不燃化粧パネル貼り+OSCU(オイルステン+クリアウレタン) 面材:木工下地 エイジングEP塗装仕上げ 装飾窓部:t=5クリアミラー貼り フレーム:t=5×9真鍮FB曲げ加工 |
■備考 | |
難易度:論外 |
作図解説
それでは、この脱着式の欄間パネルについてご説明していきます。
明確な取り外しエリアが見えないので、拡大図を載せておきましが、これならお分かりでしょう。
脱着式パネルには、半円形の装飾窓に木工面材を取付け、ミラーを貼り付けています。
金物の押さえ縁は5mm×12mmの真鍮FBを使用して高級感を出すようにしました。
この装飾窓二つを含めた2096mm×478mmのパネルを曲げ加工した金物(7箇所)で固定するようにしています。
以下が四苦八苦した納め図です。
見にくいと思われますので、それぞれの拡大図も入れておきます。
パネルを取り付ける金物のスケッチも描いているので参照ください。
ただ、ひとつ問題がありました。
それは、欄間下に設置している化粧柱をどうやって自立させるかです。
3本の内、両側の柱は壁面に固定できるのですぐに解決できました。
a,b詳細図で描いているように、柱にはボルトを溶接しておきます。
このボルトと壁面にビス止めしたLアングルとをナットで固定します。
しかし、中央の柱についてはどこにも固定する所がありませんでした。
ですから、L型に組んだ角パイプを溶接して床面にアンカーボルトで固定する方法にしました。
(上の作図参照)
また、左右の柱も壁面だけの固定では不安だったので、中央の柱と同じように補強パイプを取り付けるようにしました。
仮に、これで固定に不安があるならば、最終手段として腰に什器が設置されるので、それに固定させても良いと考えました。
全くつぎはぎだらけの施工となりました。(無念!)
これも仕方が無いと感じつつ竣工を迎えたわけです。
尚、下記に断面詳細図も入れておきますので参考としてください。
まとめ
今回は作図ポイントはありません。
私にしたら全てがポイントのような気がします。(笑)
このように、急な変更による対応策でパネルの取り付け金物をビス固定にしていますが、ちょっと考え物ですね!
ミラー貼りの大きなパネルなので、そこそこの重量がありました。
ですから、しっかりと固定する必要があります。
本来ならば、取り付け金物をLGSに溶接かボルトにて固定する方が最適でしょう。
いやはや、こんな納期の無い図面は、この物件以降は触らずにいます。
以上! 長々とおつきあいありがとうございます。
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