■サイズ■仕様
W2766×D500×H2800
図面参照
壁面:LGS+PB+木化粧貼り
(不燃木化粧材ダイライト/オイルステインクリア調・ツヤ消/ランダム配色)
スリット帆立:スチールダブルスリット黒皮調仕上げ+スチールFB黒皮調仕上げ挟み込み
間接照明取付け
■備考
業態:メンズ雑貨
作図日:2010.06.23
■難易度:中級編/★★★★☆
《WF_000》は、wall-fixtures(壁面什器)をさします

作図解説

今回の作図事例は、ニッチ壁面に取り付けたスリット付き支柱パイプの詳細図です。

物件は「ROUGES 京都ヨドバシ店」です。1年の間に3店舗を順番に出店した雑貨店のひとつで、同じブランドでありながら、各店舗ごとに違った意匠を持たせた構成になっていました。

今回の図面で注目したいのは、一般的なスリット柱をそのまま壁面に埋め込むのではなく、スリットパイプを支柱として見せながら、壁面側から棚やバーを取り付ける納まりにしている点です。

スリット柱を壁面内に埋め込む方法はよく使われますが、どうしてもブラケットや柱の存在が目立ちやすくなります。特にグラフィックシートを貼った壁面や、意匠性を重視したニッチ壁面では、スリット柱が縦に通ることで、せっかくの壁面デザインを分断してしまうことがあります。

そこで今回は、スリットパイプを単なる機能部材として扱うのではなくスチールフラットバーで挟み込み、H型鋼のような見え方にしています。これにより、支柱そのものを意匠の一部として見せながら、可動棚やハンガーバーを取り付けられる構成になっています。

また、この壁面には可動棚だけでなく、上部にシームレスランプを仕込んだ間接照明の納まりも含まれています。照明カバーで光源を隠し、ニッチ内をやわらかく照らす考え方ですが、その分、棚、ブラケット、スリット支柱、照明ボックスが近い位置で絡むことになります。

つまりこの図面は、単にスリット支柱を取り付けるための詳細図ではありません。

壁面意匠、間接照明、可動棚、支柱の固定方法をまとめて成立させるための壁面造作詳細図として見る必要があります。

安っぽいスリット柱を隠すのではなく、見せ方を整えて使う。ここがこの作図事例の大きなポイントです。

作図ポイント

まず、この事例で以下の断面図を理解するところから進めてください。読み込むには時間がかかります。

しかし、何事も時間をかけないと進まないこと多です。図面は時間を変えないと頭に入ってきません。

この支柱の納まりは、天井側と壁側にインロー式の金物を設け、そこへスリット支柱をスライドさせて差し込む考え方になっています。

d詳細図を見ると、天井側には吊りボルトを溶接したインロー金物を設け、そこへ支柱を差し込んだ後、左右からビス固定しています。

さらに正面にはカバープレートを取り付け、ビス止めで蓋をする納まりになっています。

このようにしておくことで、支柱を正面から見た時に固定ビスや内部の補強が必要以上に目立たず、すっきりした見え方にまとめられます。

一方、e詳細図では床側の納まりが示されています。ここではスリットパイプの底面にアジャスターを取り付け、高さ調整ができるようにしています。

スリット支柱を使う場合、各支柱のスリット位置が揃っていないと、棚やブラケットの高さが合わなくなります。特に複数本の支柱を連続して使う場合、このレベル合わせはかなり重要になります。

本来であれば、天井、床、壁の3方向すべてをインロー金物で固めた方が、支柱としての強度は高くなります。

ただし、現場では床の不陸や壁面下地の誤差が必ず出ます。そこで床側にアジャスターを仕込んでおくことで、支柱ごとの高さ調整がしやすくなり、施工時の手間を減らせます。

a部詳細図では、ニッチ壁面の中に間接照明、可動棚、スリット支柱が絡んでいます。

上部にはシームレスランプを仕込み、照明カバーで光源を隠す納まりになっているため、棚やブラケットとの干渉には注意が必要です。

特に、可動棚を取り付ける場合は、棚の位置を変えた時に照明カバーやブラケットが干渉しないかを確認しておきたいところです。

図面上では問題なく見えても、実際の現場では棚板の厚み、ブラケットの出寸法、照明カバーの逃げ寸法が近くなることがあります。

また、壁面側の支持金物にも注意が必要です。壁下地に固定するインローパイプや補強パイプは、一度壁が仕上がってしまうと位置調整が難しくなります。

もし取り付け位置が合わなければ、仕上がった壁を一部壊してやり直すことになります。

そのため、支持パイプと支柱の間には、ある程度のクリアランスを見ておく必要があります。クリアランスが少なすぎると、現場誤差を吸収できません。逆に取りすぎると、支柱のガタつきや強度不足につながります。

このあたりの寸法設定が、この種の図面ではかなり大切になってきます。

スリット支柱、インロー金物、アジャスター、間接照明、可動棚。それぞれはよく見る納まりでも、ひとつの壁面内で同時に成立させるとなると、作図段階での確認項目はかなり多くなります。

見た目をすっきりさせるためには、裏側でかなり細かな調整をしています。この図面は、まさにその部分がよく出ている作図事例だと感じます。

所感とまとめ

今回の図面は、スリット支柱を機能部材として使いながら、見え方まで整えた作図事例です。

スリット柱は便利な部材ですが、そのまま使うとどうしても店舗の見え方が安く感じられることがあります。

特にアパレルや雑貨店のように、壁面の雰囲気やグラフィックの見せ方が重要な店舗では、スリット柱の扱い方ひとつで印象が変わってきます。

この事例では、スリットパイプをフラットバーで挟み込み、支柱そのものをデザイン要素として成立させています。

さらに天井側はインロー式、床側はアジャスター付きとし、見え方と施工性の両方を考えた納まりになっています。

加えて、上部には間接照明も絡んでいるため、単純な棚柱の図面では終わりません。

光源の隠し方、棚との距離、支柱の固定、壁面仕上げとの取り合いなど、細かい部分を整理しておかないと、現場で無理が出やすい納まりでもあります。

ただし、この手法は通常のスリット柱よりもコストも手間もかかります。だからこそ、どこまで意匠として見せる必要があるのか、どこまで現場調整を想定するのかを、設計段階で整理しておくことが大切です。

スリット柱をただ取り付けるだけなら、それほど難しい図面ではありません。
しかし、壁面意匠を壊さず、支柱としての強度を確保し、現場で調整できる余地まで残すとなると、図面の内容は一気に深くなります。

特に今回のように、ニッチ壁面、可動棚、間接照明、グラフィック面が同時に絡む場合は、見せたい部分と隠したい部分をはっきり分けて考える必要があります。

今回はかなり難しい事例でした。お疲れ様!それでは、次回も楽しみに!
乱文、失礼しました。

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