背景
当時、トラッドショップで有名なアメリカのブランドが百貨店に出店するので手友人からの依頼で什器図などを作図した物件です。
トラッドショップなので面材を多用したフォルムからは重厚感が有るもの、一部白塗装を使用することで、明るいショップイメージに仕上がりました。
作図解説
上の平面図を見ていただければ、お分かりのように、百貨店などで良く見かけるエリアです。私思うに、エスカレーターサイドを旨く活用した壁面什器だと感じますが、如何でしょう。
什器図は、商品陳列部が3スパン。その内の2スパンにはバック面がガラススクリーンになっています。
エスカレーター側からも店内や、商品を見えるように考えられ、我々がよく使う見通し計画に沿っていると考えられています。この手法は、エスカレーターサイドのショップでは定番でもあります。
ここで、平面詳細図(a部分詳細図)の拡大図を入れておきます。
什器背面の納めがこれで理解できるでしょう。向かって左は、ガラスFIXとなる納めで、右は背面をイメージフォトで演出されています。この手法もここに限らずよく使われます。
平面図だけだと分かりにくいので、簡単なパースを描いてみました。(以下参照)
それでは、次に展開図とその断面図をご覧頂きましょう。まず展開図から!
左端のミラーパネルを除いて、右に3スパンの陳列什器がありますが、各スパン均等に寸法取りをしてますので、シーズンによって、棚やハンガーなどをフレキシブルに入れ替えることが出来ます。
この考え方も、百貨店ならではの考え方であって、各テナントもほとんどこの形式を採用しているでしょう。以下にはその断面図を表現していますので、ご覧下さい。
尚、右上のスケッチは、棚での商品陳列のさいに起こる、商品の崩れ防止用の仕切り板です。
ザクッと解説してきましたが、如何でしたか?
なんせ古い図面なので、作図の精度はイマイチかもしれません。しかし、トラッド系のショップでは、今でも充分考えられる事例だと感じますので、興味のある方はしっかり理解してください。
今回の作図は、1枚では納まりきれないので3枚にまとめました。什器自体が大きすぎる理由が原因です。ちょっと見難い箇所もあるんでご容赦ください。
後記
今回のポイントは、なんと言ったってエスカレーターサイドでのショップ展開で、その立地を旨く活かしたところにあります。過去にはこのような立地での設計には、携わったことが無く苦労しました。
什器の背板をガラスにすることを教えてくれたのは、商品バイヤーさんからでした。若干30才の私には、有りがたかったです。そして、経験値が大切だと!
最後に、このブランドが日本上陸した当時は、完全なトラッド指向でしたので、このようなショップ形態となりましたが、その後は人気も上がらずメーカーさんは苦労したことでしょう。
しかし、現在では志向を変えて、商品もカジュアルテイストとなり、ショップもそれなりのムードで展開しているようです。特に若者には人気のブランドとなってます。