■サイズ■仕様
W1500×D900×H1200
図面参照
本体:木染色CL仕上げ+クロス貼り
棚板:木フレーム+8mmガラス落し込み
■備考
初投稿 2020.05.29

作図内容

今回ご紹介する作図事例は、オーソドックスなフォルムのオープン棚什器とその詳細図です。

固定棚間の寸法を300mm以上確保することが条件だったので、什器高が1200mmになってしまいました。 店頭というよりは、むしろ店舗内中央にレイアウトした方が適しています。

この什器の基本素材は、木工の染色仕上げで、側板にはアクセントとして塗装が可能なクロスを採用しています。 単に木部一面の塗装よりもクロスを塗装した方がより表情豊かな見え方になります。

しかし、ここで、注意すべきことを、一点ご紹介しておきます。

それは、クロスを貼る面は必ず段差を設けることです。 この事例で言えば、側板のフレームとクロスを貼る面の微妙な段差をさします。 ちなみに業界用語ではこの段差を「チリ」と呼んでいます。

部分詳細図

過去の経験から、クロスの場合は最低3mm以上のチリを取るようにしています。

まあ、この条件は壁面の場合も同様です。 例えば、建具枠と壁面の関係を思い出し頂ければ分かります。

このチリを設けることで、クロスの収まりは良くなります。また、チリが少ないと季節によっては、剥がれてくることも少なくはありません。温度と湿気、乾燥の問題ですね。

あっ、季節で思い出したことがあります。

ここで、ちょっと余談ですが、建具の造りにおいてもそうなのですが、表面が木仕上げで、裏面がクロス仕上げのときに気をつけたいのが、こういう建具はつくらないこと!

というのも、日本には四季があります。季節によっては、木面が反ってことがあります。 この原因が前述した建具の仕上げです。要は異素材で仕上げたフラッシュの建具には、こういうことがあるのです。

本題に戻りますが、この側板のクロス貼りの他に、代用できる素材としてはダイノックシートがあります。 耐久性はクロスより高いですが、シートなので触った質感はどうしてもクロスの方が勝ります。

続いて天板と固定棚についてですが、その前に断面詳細図をご覧になってください。

断面詳細図

30mm×30mmの木フレームと8mm厚のガラスでの構成ですが、ここにも気にかけておいて欲しい点があります。 それは、ガラスとフレームのサイズバランスです。

部分詳細図

今回の事例のように什器サイズが1500mm×900mmと少しワイドが大きい什器の場合、木フレームのサイズを少なくとも30mmはとるようにしています。 30mmを下回るとフレームとしての強度が下がる可能性があるからです。

最後に大きな面にガラスを用いる場合、震災や何らかの理由で什器がたおれた時のことを考慮して飛散防止フィルムを貼るようにして下さい。 以上

後記

今回の事例のような、俗に言う「オープン棚什器」は、どのカテゴリーに入れればよいか悩みます。また、今回は店舗内での中央什器としてましたが、フロント什器という考え方もあります。

私の判断基準は、什器高です。仮にH=750mmでしたら、フロント什器。それ以上の高さになると、センター什器と見なしています。しかし、これに関してはとても難しいと思います。

ですから、店舗設計を手掛けるときは、その場の内容をしっかり把握してレイアウトを決定しなければなりません。多くの経験を積めば徐々に理解できると考えます。 以上、余田和でした。

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