作図解説
百貨店や面積の広いショップには後方エリアがあります。このエリアは、基本的にお客様の出入りが不可能なところで、主に商品ストックやスタッフの休憩場所などがあり、バックヤードとも呼ばれています。
壁や天井の仕上げは、店内の売り場に比べるととても無機質で、必要最低限の仕上げ方になっています。このバッックヤードに配置したスタッフ用の喫煙ルームやミーティングルームなどへ入るための建具が、今回の作図事例となります。
ちょっと前置きが長くなりましたが、本題へ!
ガラス框の引き戸で、引き込む側の壁上部にも窓を取り付けてあります。特徴としては、埋め込んだり削ったりする加工を極力少なくしてコストを抑え、取り付け作業も手間を省けるようにしました。
意匠もそれほど重視する必要がないため、機能性だけが求められる引き戸となります。まずは、開口枠です。
従来の引き戸の場合は、吊りレールを枠に溝を掘り、埋め込む加工を施しますが、この事例では枠へ直に取り付けています。しかし、片側だけにはカバーを取り付けてレールを隠すようにしました。
形状的には、開き戸の戸当たりと類似しています。ここで、注意しておいていただきたいのが、枠と壁との固定方法です。
壁側の部分(図面上の右側)はガラスをはめ込む前にビス固定し、押さえ縁でこのビスを隠すことができます。しかし、反対側(図面上の左側)の枠はビスを隠す押さえ縁などはなく、枠本体しかありません。
この場合の処理方法として今回は、ビス固定後に埋め木をし、その後塗装補修をするようにしました。(b,c部詳細図を参照下さい)
この方法は、塗装や染色などの塗り系の仕上げに有効で、表面にビスが一切見えてこないところが利点です。
続いて引き戸本体です。
押さえ縁を四方に取り付けてガラスを固定した最もシンプルな収め方です。すぐ上の a部詳細図を参照してください。
建具が引き込まれる壁の窓も、引き戸と同じ納め方で、押さえ縁での固定です。
特に、引き戸の押さえ縁は、ビスを打ち付ける面が小さいこともあり、ボンドと釘頭のない釘を用いて固定しました。
今回の作図事例で使用した金物類です。参考にして頂き、御活用下さい。
作図上の注意点
今回の作図事例では、枠を固定する際にビスと埋め木を使用しましたが、注意する点がひとつあります。それは基本的に埋め木をするには10mm程度の深さが必要とされています。
固定する板厚が薄い場合には、5mmぐらいが限度でしょう。これ以上深くすると、ビスが貫通してしまう恐れもあるからです。以上!
やっぱり、建具図は難しいです。でも、頑張って理解してください。純恵でした。
↓ ↓ ↓