壁面エリア 壁面什器
実図面との違いはあるがあくまでイメージと捉えてくだされ!
■サイズ■仕様
W3500×H2100×D450
図面参照
本体:黒檀材(柾目-横)染色クリアウレタン仕上
■備考
業態:婦人アパレル
作図:2006.07.24
■難易度:初級者:★★★☆☆/3.0

作図解説

この作図事例は、エスカレータ前の売場で計画した、ショーウィンドと併用する壁面ハンガー什器。20年以上前に携わった、ミセス向け婦人服ショップの仕事で、当時としてはエレガントさを前面に出した売場だった。

海外の高級ブランドに対抗するような空気感を意識していて、什器にも濃いベージュの塗装やブロンズ系の仕上げなど、少し重みのある素材感を使っていた。今見返すと、いかにも百貨店らしい“品のある売場づくり”を狙っていたのがよくわかる。

場所はエスカレータ前ということもあり、お客様の視線を受けやすい。単なる壁面什器ではなく、ショーウィンド的な見せ場も兼ねた什器として計画されている。商品を掛けるだけではなく、通路側から見たときにショップの印象をつくる役割も持っていたわけやね。

構成としては、木工フレームの中に固定式のシングルハンガーを組み込み、下部にはステージを設け、そのステージ部分にアッパー照明を仕込んでいる。他の壁面什器とは少し違う見え方を狙い、商品をやわらかく浮かび上がらせるような演出効果を持たせた什器と言える。

木工フレームは角をRで処理して、硬くなりすぎないようにまとめている。ミセス向けのショップなので、シャープさよりも、少し柔らかく上品に見せる方向だったのだと思う。今の目で見ると甘い部分もあるけど、当時なりに売場の格と演出を意識して描いた一本やね。

作図ポイント

今回の作図ポイントは、A部・B部・C部の詳細図を見るとわかりやすい。特に気になるのは、木工フレームの強度、足元の納まり、そしてステージに仕込んだ演出照明の処理。この3点になる。

A部詳細図では、木工フレームの角部が描かれている。見付け60mmのフレームをR15で回していて、全体としてはやわらかく上品な印象にまとまっている。ミセスファッションのショップとしては、こういう丸みのある処理は相性が良いと思う。

ただ、ここで気になるのがフレームのたわみ。図面上では60mmの見付けがあるので、それなりに強そうに見えるけど、無垢材で構成しているわけではない。長さが出る部分では、内部補強をもう少し意識しておきたいところ。

この什器は背板を持たないフルオープンに近い構成になっている。おそらく、ショーウィンドとしての抜け感や、百貨店側の規制、通路側からの見え方が絡んでいたのだと思う。背パネルを入れれば剛性は取りやすいけど、見え方が重くなる。そのため、開放感を優先した納まりになったのだろう。

B部詳細図では、足元まわりの納まりが描かれている。底目地にはSUS PLのピンクブロンズ仕上げを使い、脚部にはアジャスターを仕込んでいる。床との取り合いを調整できるようにしている点は、現場的には大事な処理やね。

ただ、ステージ部分は商品を置いたり、照明を仕込んだりする場所になるので、意外と荷重がかかる。特にセンター部分は、長さがあるぶんたわみが出やすい。見た目を崩さない範囲で、中央付近に目立たない補助脚や内部補強を入れても良かったように感じる。

C部詳細図は、ステージに仕込んだ演出照明の納まり。照明ボックスを設け、t6mmの乳半アクリルを落とし込んで光を見せる考え方になっている。商品やフレームを下からやわらかく演出する狙いだと思う。

ただ、この断面を見る限り、掘り込みの深さにあまり余裕がない。照明器具と乳半アクリルの距離が近すぎると、光が均一に回らず、器具のシルエットが出てしまう可能性がある。せっかくの演出照明でも、器具の形が透けて見えると安っぽく見えてしまう。

今ならLEDテープライトや薄型LEDバーで、もっと簡単に納められると思う。光量も確保しやすいし、器具の影も抑えやすい。ただ、この図面の時代では、今ほど選択肢がなかったのだろう。照明を仕込む什器は、図面上で成立していても、実際に点灯させると問題が出ることがある。ここは、今見ても勉強になる部分やね。

所感・まとめ

この図面は、今見るといろいろ気になるところがある。木工フレームの補強、ステージ中央部の支持、演出照明の器具選定など、もう少し詰められたのではないかと思う部分は確かにある。

ただ、什器全体の狙いは悪くない。エスカレータ前という目立つ場所に、ただの壁面ハンガーではなく、ショーウィンド的な要素を持たせたところは面白い。木工フレームでしっかり囲い、固定式のシングルハンガーを組み込み、下部ステージと照明で商品を演出する。この考え方自体は、今でも十分参考になる。

昔の図面を見返すと、どうしても反省点が先に目につく。でも、それは悪いことではない。どこが甘かったのか、何を優先していたのか、当時の自分が何に気づけていなかったのかが見えてくる。

この什器は、売場の顔としての演出性と、実際に商品を掛けるための機能性を両立させようとした事例。完璧とは言えないけれど、当時の売場づくりの空気や、図面屋としての試行錯誤がよく出ている。そういう意味では、今見返してもなかなか興味深い図面やと思う。

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