
| ■サイズ | ■仕様 |
| DW787×DH2000×D34 図面参照 | 鉄扉:t=34扉:エースライト+ケイカル板下地+シート貼り 縦枠:st曲げ 焼付塗装 |
| ■備考 業態:エステサロン(汎用性有り) 作図日:2011.12.25 | ■難易度:上級編/★★★★☆ 《WJ_000》は、wooden-joinery(木製ドア)を指します |

作図解説
今回は、不燃材を使用した引き戸の姿図と詳細図をご紹介します。
一見すると、ごく一般的な片引き戸ですが、普段私が作図している建具とは、下地材や枠の考え方が少し異なります。
この『エステサロン』では法規上の条件から、建具にも不燃仕様が求められました。それまで同様の案件を何度も手掛けてきましたが、建具にまで不燃の条件が入ったのは、このときが初めてだったと記憶しています。
そのため、下地材から仕上材までを改めて調べながら作図を進めました。
建具枠はスチール曲げ加工+焼付塗装。建具本体は木組みを基本とし、エースライト+ケイカル板を下地としてシート貼りで仕上げています。
普段なら木下地に化粧板を貼って納めるところですが、不燃条件が加われば、当然ながら材料構成も変わります。
こうした条件の違いが、詳細図の描き方にも表れている事例です。
今回の図面では、三面図をあえて小さくまとめ、平面詳細図と縦断面詳細図を大きく描いています。
詳細図の縮尺は、s=1/2です。
かなり大きな詳細図ですが、今回確認しておきたかったのは建具の姿そのものではありません。開口枠をどう納めるのか、そして引き戸として必要な有効開口をどう確保するのか。この2点を明確にすることが目的でした。
姿図だけなら、引き戸の大きさや開閉方向は確認できますが、それだけでは製作側や施工側へ納まりを十分に伝えられません。
今回のような建具図では、むしろ詳細図の方に重要な情報が詰まっています。
作図ポイント
開口枠の納めについて
まず見てほしいのが、平面詳細図に描いた開口枠です。
今回、開口まわりは大きな額縁を付けず、FB(STフラットバー)を使ってできるだけ細く見せる納まりとしています。
ここで重要になるのが、「細いFBをどうやって壁へ固定するか」です。
仕上がった状態だけを考えれば、表から見えるFB一本を描けば形にはなります。
しかし、それでは実際の施工方法が伝わりません。

そこで、縦枠となるFBの裏側にもう一枚のFBをT字状になるように溶接し、その部分を壁下地側へビスで固定できるようにしています。
固定はPB(プラスターボード)を貼る前に行います。
つまり、完成後に見える細い開口枠の裏側には、壁の中へ入り込む固定代が必要になるということです。
この納まりを平面詳細図でしっかり描いておけば、開口枠と壁下地の位置関係、固定方法、仕上げ後の見え方まで一枚の図面で確認できます。
今回、平面詳細図を大きく描いた理由もここにあります。
見付けを細くすることだけを考えるのではなく、「その細い部材をどう固定するのか」まで考えて初めて納まりになります。以下参照!

有効開口寸法(引き残し寸法)について
もうひとつ、引き戸を作図するときに必ず確認しておきたいのが有効開口寸法です。
引き戸は、扉を開ければ建具幅いっぱいの開口が取れるわけではありません。
建具には掘り込み引手などが付くため、全開時にも引手を操作できるだけの引き残しが必要になります。
一般的には、100mm前後を見ておけば、引手の形状が多少変わった場合にも対応しやすくなります。ただし、これは建具や金物の仕様によって変わるため、実際の作図では使用する引手との関係を確認することが大切です。
そして、ここで注意したいのが作図の順序です。
引き戸の寸法を先に決めて、最後に「有効開口が足りない」と気付くのでは効率がよくありません。
まず必要な有効開口寸法を確認する。
そこから引き残しを加え、建具寸法や引き込み側のスペースを検討していく。
この順序で考えた方が、作図途中での寸法変更も少なくなります。
最近ではクライアント側から有効開口を指定されることも多くなりましたが、引き戸を描く以上、自分でも必ず確認しておきたい寸法です。
その他・私見
今回の図面を振り返ると、不燃仕様の建具を描いたこと自体も勉強になりましたが、それ以上に詳細図の重要性を改めて感じます。
特に開口枠は、完成した姿だけを見れば非常にシンプルです。
しかし、その裏側にはFBの溶接や壁下地への固定があり、さらにPBを貼る前に施工しておかなければならないという順序があります。
こうした情報は、姿図だけではなかなか伝えられません。
詳細図を大きく描くことは少々大げさに見えるかもしれませんが、施工する人が迷わず理解できるのであれば、それで十分だと考えています。
まとめ
今回の事例では、不燃仕様による材料構成に加え、開口枠の固定方法と有効開口寸法の考え方が大切なポイントになります。
特に覚えておきたいのは、見えている形だけを描くのではなく、その裏側にある固定方法まで詳細図で伝えること。
そして引き戸では、有効開口と引き残しを作図の早い段階で確認することです。
何でもないように見える引き戸でも、詳細図まで追っていくと、作図時に押さえておくべき情報がいくつも見えてきます。
今回の図面は、そのあたりを読み取ってもらえる事例だと思います。
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