■サイズ■仕様
W1200×D800×H1350
図面参照
本体:ナラ材染色+CL仕上げ
棚板:t=5mm透明ガラス(コーキング止め)
■備考
業態:メンズショップ
作図日:2009.04.01
■難易度:初級編/★★★☆☆
《DF_000》は、display fixtures(ディスプレイ什器)をさします

作図解説

今回の作図事例は、紳士服売り場に設置したシャツボックス什器の姿図と断面図である。

まだGMSに勢いがあり、全国各地へ積極的に出店していた頃、ある設計会社から紳士服売り場の設計依頼を受けた。現在でいうプライベートブランドのスーツ売り場で、売り場全体の什器構成や商品展開についても検討する必要があった。

当時はGMSの商品部へ出向き、担当バイヤーと数時間にわたって打ち合わせを行っていた。そこで交わされた内容をその場で図に起こし、図面とは呼べないようなラフスケッチを何枚も描いていたことを思い出す。

GMSの売り場では、「ゴンドラ」と呼ばれるシステム什器を中心に構成することが多い。棚位置を変更しやすく、商品の入れ替えにも対応できるため、広い売り場を効率よく運営するには都合のよい什器である。

一方で、すべてをゴンドラ什器で揃えてしまうと、売り場全体が均一に見えやすい。そのため、シャツや服飾洋品などの売り場には製作什器を取り入れ、単調になりがちな売り場のアクセントとして配置していた。

今回紹介する什器も、その中から抜粋したシャツ専用のボックス什器である。

フォルムとしては比較的定番の形状で、中央にガラス棚を組み込み、上部にはディスプレー用の傾斜面を設けている。下部には木製の収納部を持たせ、陳列とストックの両方に対応できる構成となっている。

正面から見ると左右に長い什器だが、内部は一定の間隔で区切られており、畳んだシャツをサイズや色柄ごとに整理して陳列できるようになっている。商品が整然と並ぶことで売り場に量感を持たせながら、選びやすさも確保する考え方である。

作図ポイント

この什器でまず見ておきたいのは、シャツの寸法を基準に各部のサイズを決めている点である。

中央のガラス棚は、畳んだシャツを重ねて陳列することを想定している。そのため、棚の奥行きや区画の幅、棚間の高さは、商品寸法と陳列量を考えながら設定しなければならない。

図面上では、正面の各区画が細かく分割されている。商品をただ大量に積み上げるのではなく、一定の幅で区切ることにより、シャツの山が崩れにくくなり、色やサイズの分類もしやすくなる。

ガラス棚には厚さ5mmのトウメイガラスが使われ、コーキングで固定する指示が入っている。シャツのような比較的軽い商品を載せる棚であっても、棚板の支持方法や固定方法は明確にしておく必要がある。

また、上部のディスプレー面は中央に向かって緩やかに傾斜している。平らな天板とするよりも商品に角度がつき、正面や通路側から見たときにシャツのフェイスが見えやすくなる。

この傾斜部分については、正面図だけでは形状を理解しにくいため、断面図と部分詳細図が重要になる。木地の組み方、立ち上がり部分の高さ、傾斜面との取り合いを描くことで、製作側にも意図が伝わりやすくなる。

そして、どの什器にも共通することだが、各部の高さ設定には注意が必要である。

指定された商品数や陳列量だけを優先して設計すると、施工後に「商品が見えにくい」「取り出しにくい」といった問題が発生する。図面上では商品がきれいに納まっていても、実際に売り場へ立った人の目線や姿勢まで考えなければ、使いやすい什器にはならない。

商品が最も見やすい高さ、人が無理なく手を伸ばせる範囲、身体を大きくかがめずに商品を取り出せる位置などを理解したうえで、棚の高さを決める必要がある。

今回の事例では、下段の陳列部の高さが床から約300mmとなっている。平均的な身長の男性が立った状態では、膝より下の範囲に置かれた商品には視線が届きにくい。

特に畳んだシャツは上面を見せる陳列になるため、低い位置へ置くほど商品の色柄やデザインが確認しづらくなる。購入者が商品を見るたびに深くかがまなければならない高さでは、売り場としても使いやすいとは言えない。

下段の高さを少し上げ、その分をガラス棚の間隔や上部ディスプレー部の高さで調整するなど、できる限り死角を減らす工夫が必要だったと感じる。

所感・まとめ

このシャツボックス什器は、形だけを見れば特別に複雑なものではない。

しかし、専用什器として成立させるためには、商品の寸法、畳み方、積み上げる枚数、見え方、取り出しやすさまで考えて作図する必要がある。

売り場什器では、陳列量を確保することも重要だが、商品が見えなければ販売にはつながらない。限られた什器寸法の中で、商品量と視認性をどう両立させるかが設計のポイントになる。

また、GMSのようにシステム什器が中心となる売り場では、製作什器の存在が売り場全体の印象を左右する。専用什器を適切な位置に配置することで、商品のまとまりが生まれ、売り場にも変化をつけることができる。

図面を描く際には、寸法を納めることだけで終わらせず、実際にその売り場へ立った人の目線を想像してほしい。

商品は見えるのか。手に取りやすいのか。戻しやすいのか。

その確認を重ねることで、施工後に使いやすく、売り場としても機能する什器図面に近づいていく

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