■サイズ■仕様
W1400×D640×H2270
図面参照
本体:木下地AEP塗装仕上げ+ラッカー塗装仕上げ
行灯部:t=5乳半アクリ+9角スチール焼付け仕上げ
■備考
業態:紳士アパレル
作図日:1999.08.22
■難易度:中級編/★★★☆☆
《WF_000》は、wall fixture(壁面什器)をさします

作図解説

今回の作図事例は、間接照明を施した壁面造作什器の姿図と断面図です。

25歳から35歳あたりの男性をターゲットにした、海外ブランドのメンズファッションショップでの作図事例になります。白と黒を基調にした店内に、濃い木目をアクセントとして使い、落ち着きと重厚感のある売場を演出した物件でした。

什器だけを並べて構成するショップではなく、壁面造作、ステージ、照明、素材の見せ方まで含めて空間を組み立てていたので、作図する側としても手応えのある仕事だったと記憶しています。

この図面で特徴的なのは、左右の方立部分に取り付けた行灯型の間接照明です。

ダウンライトやスポットライトのように商品へ直接光を当てるのではなく、方立の内側から柔らかく光らせることで、壁面全体に奥行きと演出感を持たせています。

メンズショップの場合、照明の当て方ひとつで売場の印象は大きく変わります。

明るくしすぎると軽く見え、暗くしすぎると商品が沈んでしまう。その中間を狙う意味でも、こうした間接照明を組み込んだ壁面造作は有効な手法だと感じます。

図面を見ると、棚にはt6トーメイガラスを使い、こぼれ止めを設けています。側面にはt5mm乳半アクリルを入れ、内部の光を柔らかく見せる構成です。

正面の見付けには9角の押し縁を使い、白ラッカーやAEP塗装で全体を白くまとめています。

一方で、ステージTOPにはナラ材の目出し染色を入れています。

白い壁面の中に濃い木目を差し込むことで、売場全体が軽くなりすぎないようにしているわけです。こうした白、黒、木目、光の組み合わせが、このショップの雰囲気を作る大きな要素になっていました。

作図ポイント

この図面でまず見ておきたいのは、左右方立に組み込まれた照明ボックスの納まりです。

平面詳細図

側面図を見ると、奥行き600mmの中に、壁面、建具、ガラス棚、乳半アクリル、照明スペースがかなりタイトに納められています。

間接照明は見た目の演出効果だけで考えがちですが、実際には器具の納まり、配線、メンテナンス、光の逃げ方まで考えておく必要があります。

特に乳半アクリルを使う場合は、器具との距離が近すぎると光源が見えやすくなります。逆に離しすぎると光量が弱くなり、せっかくの演出効果が出ません。図面上では数本の線で表現される部分ですが、現場ではかなり見え方に影響するところです。

次に見ておきたいのは、ガラス棚の納まりです。

t6トーメイガラス棚にこぼれ止めを付け、傾斜ブラケットで受ける構成になっています。棚を水平に並べるだけではなく、少し角度を付けることで、商品を見せる方向をコントロールしています。

メンズ雑貨やシューズ、小物類などを陳列するには、相性の良い納まりだと思います。ただし、ガラス棚は見た目が軽くなる反面、受け方を間違えると頼りなく見えます。

棚の厚み、ブラケットの位置、こぼれ止めの見え方、このあたりのバランスを整理しておかないと、せっかくの造作が安っぽく見えてしまいます

そして、今回の図面で少し気になるのが、背面壁に埋め込まれたスリットです。機能としては成立していますが、見た目としてはやや物足りない印象があります。

白と黒、濃い木目で重厚感を出しているショップなので、壁面にスリットが見えてしまうと、少し軽く見える可能性があります。

個人的には、スリットを背面壁ではなく方立側に仕込むか、ダボ式にして見え方を整理した方が、もう少し上品にまとまったように感じます。もちろん、コストや施工性との兼ね合いもありますが、壁面造作はこうした小さな見え方の差が、最終的な印象に大きく関わってきます。

もうひとつ大事なのが、面材の使い方です。

この物件では、店内の廻り縁やステージの見付けに面材を取り付けています。こうした面材は、展開図や立面図では線として表現されますが、実際にはどこから始まり、どこで終わるのかを必ず確認しなければなりません。

正面から見るときれいに通っていても、平面図で見ると柱型や壁の入隅、店舗境界ライン付近で止め方に迷うことがあります。特に店舗境界付近では、見切り材が必要になる場合もあります。ここを曖昧にしたまま作図を進めると、現場で「この端部はどう納めるのか」という話になりやすいですね。

図面を描く時は、立面の見え方だけでなく、平面上で面材の始まりと終わりを確認すること。これは、こうした壁面造作ではかなり重要なポイントです。

所感・まとめ

この作図事例は、壁面造作什器としては比較的まとまった構成ですが、見どころはやはり間接照明と面材の納まりにあります。

間接照明は、図面上ではそれほど目立つ要素ではありません。線と寸法で表現されるだけです。しかし実際の売場では、空間の印象を大きく左右します。

特にメンズショップでは、商品を見せる明るさと、店の雰囲気を作る暗さのバランスが大切だと考えます。

今回のように、左右の方立へ行灯型の照明を組み込む手法は、直接照明だけでは出しにくい柔らかさや奥行きを作ることができます。

単調になりがちな壁面陳列に、少し表情を加える意味でも有効な方法だと感じます。

一方で、スリットや金物の見え方、面材の終わり方など、細かな部分を詰めきらないと、せっかくの造作が少し軽く見えてしまうこともあります。

図面として成立しているかどうかだけでなく、現場で見た時に本当にきれいに見えるかどうか。そこまで想像して線を引けるかが、壁面造作では大事になってきます。

什器単体ではなく、壁面、照明、棚、素材、ステージまで含めて、ひとつの売場を作る。

この図面は、その考え方を確認するには良い作図事例だと感じます。

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