■サイズ■仕様
W2810×H2200×D450
図面参照
壁面 : LGS下地T12.5mm P.B.貼uc1  A.E.P.塗装仕上
固定棚 : t10mm ブロンズガラス シリコン留め
※その他は図面参照
■備考
業態:婦人アパレル全般&雑貨も可能
作図日:2005.12.28
■難易度:中級編/★★★★☆
《WF_000》は、wall-fixtures(壁面什器)を指します

作図解説

今回紹介するのは、壁面にガラス固定棚と間接照明を組み込んだディスプレイ造作の作図事例。

全体は、フロント壁面パネルをベースに、大小の円形をくり抜いたディスプレイ。それに縦長の意匠部分を配置した構成となっている。

バック壁面パネルには、t35mmのレリーフパネルを取り付けている。固定棚には、t10mmのブロンズガラスを使用し、商品を置いたときにも壁面の意匠を邪魔しないよう、軽い見え方にまとめている。

また、下部には黒檀材を使ったステージを設置。内部に間接照明を仕込み、壁面とステージが一体に見えるよう納めている。

全体図を見ると比較的シンプルな壁面造作に見えるが、実際の作図で重要になるのは各部の詳細図だ。

特に今回は、a部とb部の断面詳細図に、製作するために必要な情報が集約されている。

a部断面詳細図|ガラス固定棚の受け方

まず見ておきたいのが、ガラス固定棚を示したa部断面詳細図

棚板は、t10mmのブロンズガラス。これを壁面から持ち出すため、SUS PLを曲げ加工した受け金物を使用している。

ここで重要なのが、ガラス棚のデプスと受け金物のデプスの関係だ。

ガラスの出寸法が大きくなれば、それに合わせて受け金物側のデプスも確保する必要がある。

受け金物が短いまま棚だけを前へ出してしまうと、荷重が先端側へかかり、棚がおじぎする原因になる。固定部にも負担が集中しやすくなる。

そのため、

「棚をどこまで出すか」
「その棚をどこまで金物で受けるか」

この二つはセットで考えなければならない。

単にガラスの寸法だけを決めて終わりではなく、受け金物の長さ、曲げ形状、固定方法まで詳細図で示して、初めて製作可能な図面になる。

さらに、ガラスと金物が直接当たる部分にはクッション材を取り付ける。

こうした小さな指示も、ガラスの保護やガタつき防止を考えれば省略できない部分だ。

b部断面詳細図|間接照明を仕込んだステージ

もうひとつ重要なのがb部断面詳細図。

こちらでは、黒檀材で仕上げたステージ内部に間接照明を納めている。

表から見えるのは薄いステージだが、その内部には照明器具を納めるスペースが必要になる。

図面では、t6mmのアクリル乳半を差し込み、内部の光を拡散させる構成としている。

さらに、SUS PL曲げ加工のフレームを組み合わせ、照明器具が表から直接見えないよう納めている。

間接照明を作図するときは、器具そのものを描けば終わりではない。

光源をどこに置くのか。

乳半アクリルとの距離をどれだけ確保するのか。

フレームをどのように固定するのか。

そして、器具交換などのメンテナンスをどう行うのか。

断面詳細図では、こうした表から見えない部分まで整理しておく必要がある。

作図説明

今回の図面で特に押さえておきたいのは、次の3点。

1つ目は、ガラス棚のデプスと受け金物のバランス。

棚の奥行きを変更した場合、ガラス寸法だけを修正するのではなく、必ず受け金物の寸法も見直す。棚のおじぎを防ぎ、必要な強度を確保するためにも重要なポイントとなる。

2つ目は、異素材が接する部分の納まり。

ガラス、SUS、木部、アクリルと複数の材料が組み合わされている。それぞれの厚みだけでなく、接触部のクッション材や固定方法まで詳細図に落とし込んでおきたい。

3つ目は、間接照明の「光」だけでなく内部構造まで描くこと。

完成後は見えなくなる部分だからこそ、製作段階では寸法と納まりが必要になる。器具スペース、乳半アクリル、フレーム、固定方法を断面で確認できる図面にしておくことが大切だ。

その他・私見

こうした壁面造作は、正面図だけなら比較的きれいにまとめやすい。

しかし、実際に製作する段階になると「この棚はどうやって持たせるのか」「照明はどこへ納めるのか」「金物はどこまで必要なのか」といった疑問が次々に出てくる。

そこで必要になるのが詳細図だ。

特に今回のa部断面詳細図は、ガラス棚と受け金物の関係を考えるうえで分かりやすい事例だと思う。

ガラス棚を少し深くしただけでも、荷重のかかり方は変わる。

だから棚寸法を変更したなら、受け金物も同じ条件で見直す。

こういうところは、意匠図だけを見ていてもなかなか気づかない。

詳細図を描く意味は、形を拡大して見せることではない。

「この形を、実際にどう作るか」を決めることにある。

まとめ

今回の壁面ディスプレイは、ガラス固定棚と間接照明を組み合わせた造作事例だった。

見た目を構成しているのはガラスや木部、照明だが、それを成立させているのは表から見えない受け金物やフレームだ。

特にガラス棚では、棚のデプスに対して受け金物のデプスをどう設定するかが重要になる。

そして、その判断を製作側へ正確に伝えるために必要なのが断面詳細図。

姿図でデザインを伝え、詳細図で「どう作るか」を伝える。

今回の図面は、その役割の違いがよく分かる作図事例だと思う。

最後に、この事例はかなりのデザイン性を感じる.ので、あまり汎用性は無い。ただ、アレンジは出来ると考える。

そうすれば、あなたの『引き出し』がもうひとつ増える。

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